1月3日・主の公現 マタイ2章1~12節  「公現」はいまも続く

今日は「主の公現」の主日です。本来は1月6日ですが、キリスト教国でない日本などでは主日に祝われます。
「公現」はギリシア語で「輝き出ること」だそうです。イエスの降誕によって神の栄光が輝き、この世を照らすことを、マタイの福音が伝えるエピソードを通して味わいます。

 今日のマタイの福音では、占星術の学者たちが主人公です。「三人の博士」とか「三人の王」と言われることもありますが、聖書には人数が書いてありません。贈り物が三つなのでいつのまにか三人になったようで、名前まで付けられています。
 「占星術の学者」ですから、星を見るのが仕事です。不思議な輝く星を見つけたのも当然かもしれません。羊飼いたちも、夜に羊の群れの番をしているときに救い主誕生の知らせを受けました。いずれも、救い主が夜の闇に輝く希望であることを表しています。

学者たちは異邦人でした。もちろんイスラエルの神を信じていた人たちではありません。「占星術」は占いの一種ですから、律法で占いを禁じられていたユダヤ人からみれば怪しい占い師のようにもみえます。その学者たちが遠い国から苦労の旅路の末に救い主を訪ねてきたのです。
彼らもまた、洗礼者ヨハネと同じく、新約の時代の幕開けを告げる人々でした。旧約の時代は神がイスラエルの民を導く時代でした。もちろん、イスラエル以外の異邦人と神とのかかわりも描かれていますが、あくまでも中心はイスラエルの民でした。しかし、新約の時代は、救い主がすべての人々のために遣わされたことによって始まります。
1月1日の福音でザカリアが「これは万民のために整えてくださった救いで、異邦人を照らす掲示の光、あなたの民イスラエルの誉れです」と神を賛美しています。イスラエルから始まってすべての人に救いが広がっていくというのが新約の時代です。異邦人である占星術の学者たちは、世界中の民を代表して救い主のもとを訪れたのでした。
これはわたしの想像ですが、学者たちは国に帰ってから、きっと救い主のことをまわりの人々に語ったことと思います。それから何十年、何百年後にキリストの教えが伝わったとき、「これは先祖が言っていたあの救い主のことか!」と喜んでいる姿を想像すると嬉しくなりますね。

聖書学では、東方の国は今のイランのあたりだといわれています。しかし、そこからさらに東へ行くと、ロシア、インド、中国など、ユーラシア大陸を経て日本に至ります。イスラエルから遠く離れた日本にまでキリストの救いが伝えられました。
「主の公現」は今も続いています。わたしたちも、救い主に出会った者として、その喜びを分かち合う使命を受けています。                  (柳本神父)