12月29日 聖家族

12月29日 聖家族 ルカ2章41~52節 わたしたちみんな聖家族

  主の降誕の次の日曜日には聖家族を記念します。もちろんイエス・マリア・ヨセフの三人家族のことです。福音の箇所はイエスの少年時代、エルサレム神殿での出来事です。聖家族を記念するだけでなく、わたしたちの家族のことも思い起こしながら、この一年を結ぶこともふさわしいのではないでしょうか。

 今日のエピソードはイエスの少年時代の出来事です。聖書に記されている唯一のイエスの子ども時代の姿が見られます。イエスは神の子ですが、普段は普通の子どもとして過ごしていたのではないでしょうか。コンピューターのような知識を持っていたスーパー天才少年だったのではないでしょう。神殿における学者たちとの問答においても、「かしこい子どもだ」という程度で人並みはずれた知識ではなかったと思います。もし神童と噂されるようなら、普通の生活はしていなかったでしょう。地元の人たちは、イエスが宣教を始めたとき、その知恵に驚いているくらいですから。
家族の間ではどうだったでしょうか。マリアはお告げのときに告げられて、神の子であることは知っていましたが、床の間にまつって拝んでいたわけではないですね。ごく普通に育てていたのでしょう。それは今日の福音にもよく表れています。マリアが遠慮なくイエスを叱っているのはその表われです。
ではヨセフはどうでしょう。ヨセフはマタイの福音の始めのほうには出てきますが、マリアに比べて影が薄いですね。実際聖書にはヨセフがどういう人だったかは「正しい人であった」と書かれているだけです。でもわたしはヨセフの面影はイエスに見ることができると思っています。血はつながっていませんが、イエスの権力者にはきびしく弱い人々にはやさしい態度、父なる神に対する強い信頼、人々との出会いを大切にする心などはヨセフから受け継いだものではないでしょうか。まさに「子を見て親を知る」ことができるわけです。もちろんマリアの影響もあると思いますが。

 以前、聖家族について、「教会では伝統的に全員信者の家族が聖家族と呼ばれているようであるがそうではない。信者は信者でない家族と神をつなぐ役割をしているから、みんな聖家族なのだ」ということを書きました。そしたらある信者さんが「それを読んでうれしくて涙が出ました」と言われました。自分以外の家族が信者でないことに引け目を感じてらっしゃったそうです。「聖」とは神に属すること、神とつながっていることです。イエスの家族は神ご自身がいらっしゃるから「聖家族」ですが、どの家族も神さまの愛を受けている聖家族です。
そして、教会は血のつながりを超えた集まりですから、これも「聖家族」ですね。ですから今日はわたしたちみんなが聖家族であることを思い起こす日なのです。

(柳本神父)

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