5月4日 復活節第3主日

5月4日 復活節第3主日 ヨハネ21章1~19節  ゆるしによる派遣

 復活節第三主日には弟子たちと復活されたイエスとの出会いの箇所が読まれます。ヨハネの福音書ではトマスに現れたあと、20章の最後にいったん結びと思われる言葉があり、21章でまた漁をしている弟子たちに現れます。先週の箇所で弟子たちは復活したイエスに出会っているのにまた漁師に戻っているのはおかしな話ですが、このエピソードは福音書編集の際に弟子たちが体験したことをあとで付け加えたものと考えられています。

 不思議な大漁の奇跡はルカ5章にも記されています。こちらはイエスが最初にペトロたちを呼び集めたときの出来事です。最初と復活後と同じような奇跡が二回あったのか、それとも一つの奇跡が別々のところに記されたのかはわかりませんが、今日の福音は復活されたイエスがふたたび弟子を呼び集めたという意味では共通しています。
 漁のあとで、イエスは弟子たちに朝食を準備されます。イエスが用意されたパンンとペトロたちが獲った魚です。パンと魚を増やされた奇跡や最後の晩さんとの関係があるかもしれません。ここでも奉仕する主の姿が見られますね。
 そのあと、イエスはペトロに三度、わたしを愛しているかと尋ねられます。もちろんこれは、イエスの裁判のときにペトロが三度、イエスを知らないと否定したことに対するフォローでしょう。ペトロは「愛していることは、あなたがご存知です」と答えますが、それに対してイエスは「わたしの羊を飼いなさい」「世話をしなさい」と言われます。これは、イエスが約束された「あなたの上に教会を建てる」ということの再確認です。これによって、ペトロは自分の裏切りを赦してもらったと実感したことでしょう。
 ルカの福音で、イエスがペトロを招くときの言葉は「人間をとる漁師にしよう」でした。魚を獲るのは食べたり売ったりするためで、それで終わりです。しかし、「羊を飼う」のは世話をして羊のために奉仕することが必要です。もちろん魚も養殖のために獲ることもありますが、この場合は違うでしょう。わたしは子どものころ、うなぎ料理は和食なのになぜ「うなぎの洋食」というのか不思議でした。これは「養殖」ですね。閑話休題。

 ペトロに対する最初の招きと復活後の招きの違い、それは「ゆるし」の体験だったのではないでしょうか。イエスの復活は一度イエスのもとを離れた弟子たちを赦し、再び招いて派遣する出来事でした。弟子たちはイエスのゆるしを胸に、聖霊を受けてこの後宣教へと派遣されていくのです。
 先日、ペトロの後継者である教皇フランシスコが亡くなられました。貧しい人々や難民のことを常に思い、自らも清貧の生活をおくられた教皇は、主の復活を迎えてすぐにイエスのもとに旅立たれました。ペトロや弟子たち、そして教皇をはじめとする教役者だけでなく、わたしたちみんな復活されたイエスと出会い、派遣されています。わたしたちも主に赦された喜びを周りの人に分かち合っていきましょう。

(柳本神父)

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