5月25日 復活節第6主日

5月25日 復活節第6主日 ヨハネ14章23~29節  最高の弁護者である聖霊

 新教皇・レオ14世が選ばれました。初のアメリカ合衆国出身の教皇です。とはいえペルーで司教に任命され、貧しい人々や国を追われた人々に寄り添う心をもって歩まれた方です。先日、ある信者さんが「神父様、コンクラーベに行ってきましたよ!」と言われたので思わず「あなたは枢機卿か!」とツッコみそうになりましたが、もちろん映画のことでした。わたしも鑑賞してきましたが、自分の召命について考えさせられたように思います。そして今日の福音は、初代教皇のペトロを含む弟子たちに告げられた昇天と聖霊降臨についての予告です。

 今日の福音も最後の晩さんの際に弟子たちに話されたみことばです。先週の「互いに愛し合いなさい」という教えのあと、ペトロの離反の予告に続いてご自分と父との関係を示されます。そしてそのあと、聖霊を与える約束をなさいます。これは来週の主の昇天、再来週の聖霊降臨につながる箇所だということです。
 イエスは聖霊を「弁護者」と呼ばれています。それは「すべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる」方だから、ということです。現代にも「弁護士」という仕事がありますが、裁判などで訴えられたとき、専門的知識を駆使して弁護してもらえます。先日も袴田巌さんの弁護を担当した弁護士さんのお話を聞きました。テレビでも冤罪で訴えられた人の弁護を担当した方の話を放送していましたが、いずれも法律的知識だけでなく、専門家に科学的鑑定を依頼して無罪を勝ち取られました。やはりそれは専門家の助けがないと不可能だったことでしょう。
 わたしたちは訴えられることはめったにないかもしれませんが、自分の信仰について問われる機会はたびたびあります。「なんで教会に行ってるのん?」「イエス・キリストはほんまに神さまなん?」などと聞かれたときにうまく答えられないかもしれませんが、心をこめて答えようとするときに、心の弁護者である聖霊が助けてくれるはずです。
 そして、教会が目指す神の国に向かう取り組みは、人間の力だけではなかなか進みません。世の中の現実を考えると、不可能ではないかとも思われます。けれども、神の国の専門家である聖霊がわたしたちを助け、必ず実現に向けて進めてくださるはずです。

 「教皇選挙」の映画では、枢機卿間の対立や陰謀的な事件も描かれていましたが、コンクラーベに参加した菊池枢機卿は「そんなことはなかったですよ」と語っておられました。けれども過去にはそのようなこともたびたびあったようです。しかし、どのような結果であれ、そこには聖霊が働いていると信じています。教会の変革を望まない枢機卿が多数の中で選ばれた教皇ヨハネ23世は、突然に第二バチカン公会議を招集されました。それで教会の改革が実現したのです。わたしたちも新しい教皇とともに、聖霊の働きを信じて神の国に向かって歩んでいきましょう。           

(柳本神父)

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