5 月 10 日・復活節第5主日 ヨハネ14章1~12節 イエスと密接に結ばれている
今日の福音はヨハネの福音の中で、イエスが最後の晩餐の際に語ったとされる箇所です。
ヨハネ福音書の実に三分の一を占める長い説教は、とくに父とイエス、イエスとわたした
ちの関係が述べられています。最後の晩餐はイエスの死と復活に深くつながっていますか
ら、イエスの過越がわたしたちと三位一体の神を分かちがたく結ぶ出来事であることを表
しているのでしょう。
今日の箇所はよく葬儀ミサで読まれます。「父の家には住むところがたくさんある」とい
うところは天の国の住処が用意されていることを教えていますし、「わたしを通らなければ
だれも父のもとに行くことはできない」ということばによって、イエスが父のもとに導い
てくださる方であることが示されています。しかし、このイエスのみことばは、死後の救
いだけでなく、今のわたしたちに告げられていることとして受け止められるべきものです。
イエスは「わたしは道、真理、いのちである」と言われます。「道」は父に向かう道です。
わたしたちはイエスの道を通って父のもとに行きます。しかし、道は向かうためだけにあ
るのではありません。道を通ってこちらに来る人もいます。それはイエスです。イエスは
死と復活によって天の門を開いてくださいました。そこへ続く道を通ってイエスのほうか
らわたしたちのところに来てくださるのです。
いま、わたしたちはミサにも行けず、イエスと離れて暮らしているように思うかもしれ
ません。しかし、イエスのほうがわたしたちのところに来てくださるのです。そして、真
理を告げ、いのちを与えてくださいます。トマスが「どうして道を知ることができるでし
ょうか」と尋ね、フィリポが「御父をお示しください」と願う前からイエスはご自分の道
を教え、父を示してくださっていたように、わたしたちもイエスがご自分の道を通ってす
でに一緒にいてくださるということを知るのです。
「わたしを信じる者はもっと大きな業を行うようになる」とイエスは言われます。「どう
してイエスより大きな業を?」と思うかもしれませんが、わたしのところに来てくださる
イエスがともにいて働いてくださるとき、わたしたちはイエスが始められた神の国を実現
していくことができます。
わたしたちは幸せです。このような苦しいときにもイエスがともにいてくださることを
知っているのですから。この幸せのうちに生活し、苦しむ人や助けを必要としている人の
ために祈りを捧げ、イエスがすべての人の主であることを忘れないこと。これが、イエス
がわたしたちに与えられる業です。
現在、感染拡大防止のために三密を避けるように言われています。けれどもわたしたち
は、いつもイエスと密接に結ばれているのです。 (柳本神父)