5月23日 聖霊降臨 ヨハネ15章26~27節、16章12~15節  聖霊は神の国を実現される

聖霊降臨と言うと、今日の第一朗読箇所、使徒言行録2章の五旬祭の出来事を思い起こします。五旬祭は過越祭から五十日目の「刈り入れの祭」でした。今日の福音では、ヨハネの福音書から、最後の晩さんのあとのイエスの説教の中で、聖霊を遣わす約束をされた部分が朗読されます。

実は、ヨハネの福音書では復活したイエスが弟子たちのもとに現れたときに聖霊を与えられています(20章21~23節)。イエスは息を吹きかけて「聖霊を受けなさい。だれの罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される」と言われます。これは、復活節第三主日(4月18日)のルカの福音における「罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる」というイエスの言葉を思い起こさせます。つまり、聖霊は人を罪から解放し、神に立ち返るよう導いてくださる存在であるといえます。
「聖霊は五旬祭のときに降りてきはったんとちゃうの?」と言いたくなりますが、むしろ、五旬祭の場面は、弟子たちが宣教を行うことが聖霊の働きによるものだ、ということが示されているといえるでしょう。

では、今日の福音は聖霊について何を伝えているのでしょうか。キーワードは「弁護者」「真理の霊」「その方はわたし(イエス)に栄光を与える」という三つの言葉です。
「弁護者」はわたしたちのそばにいて助けてくださる方です。弁護士さんは、わたしたちが困っているときに法律の知識を駆使して守ってくれます。聖霊も、わたしたちが神さまのことをうまく伝えられないときに見えない力で助けてくださる方です。
そして、聖霊は「真理の霊」です。イエスは、「わたしは道、真理、命である」と言われました。イエスが語られた真理をわたしたちに悟らせ、まわりの人にも示すように導いてくださる方です。
さらに、聖霊はイエスに「栄光を与える」方です。イエスの栄光とは、すべての人がイエスの真理を悟り、イエスとともに神のもとに集うことです。そう、王であるキリストのイメージですね。イエスの喜びは、世界のみんなが幸せになることです。つまり、神の国の完成こそがイエスの栄光なのであり、聖霊はそれを実現してくださる方なのです。

ということは、「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいる」と言われたのは聖霊降臨のことだったということです。先週の説教で「姿が見えなくなったのはわたしの中に来られたから」と書きましたが、それこそが聖霊降臨であるということができます。その意味で、主の昇天と聖霊降臨は同じ出来事の表裏だといえるかもしれません。
コロナの今も、聖霊はわたしたちとともにいてくださいます。こんな今だからこそ、イエスの復活の喜びを身近な人々と分かち合えるよう、助けてくださるのです。(柳本神父)