5月17日・復活節第6主日 ヨハネ14章15~21節  あなたがたをみなしごにはしておかない

来週の主の昇天、再来週の聖霊降臨を前に、イエスは今日の福音で聖霊を送ることを告げられます。イエスは天に帰られますが、いつまでもともにいることを弟子たちに告げ、励まされるのです。 とくに「あなたがたをみなしごにはしておかない」ということばが強調されています。「みなしご」というとわたしの世代は「みなしごハッチ」や「タイガーマスク」を思い出しますが、アニメや物語の話ではありません。世界中の親のいない子どもたちは守らなければならないのはもちろんですが、わたしたちも神の存在を見失い、途方に暮れることがあります。とくに新型コロナウイルスの感染が拡大する世界に生きるわたしたちは、神は見捨てられたのか、と叫びたくなります。 そのようなときこそ、イエスの「わたしはあなたがたをみなしごにはしておかない」というみことばが生きるのです。それは、神がともにいて守ってくださる、ということです。 イエスはそのために聖霊を遣わす約束をなさいます。聖霊は「弁護者」である、と言われます。現代において「弁護者」の役割をするのは弁護士ですが、弁護士はわたしたちではなかなか理解できない法律や規則の知識を駆使して依頼人を守ります。つまり、弁護者はわたしたちのできないことをして守ってくださる方です。 そして、イエスが「弁護者」と言われたのは、聖霊がわたしたちの代わりに語ってくださる方であるということです。裁判の席で弁護士は依頼人の代理として語ります。弁護者である聖霊も、必要なときにわたしたちの口を借りて語ってくださいます。みなさんにも思わぬときに自分の口から出た言葉が、人を喜ばせたという経験があるかもしれません。使徒言行録には弟子たちが人々の前で自分の信仰を述べるという出来事が、聖霊の働きとして記されています。わたしたちにも同じ力が与えられているのです。 ヨハネの福音書では、とくに最後の晩餐の際の説教として記されているイエスのみことばにおいて、父と子とわたしたちの関係が強調されています。今日の福音でも「わたしが父のうちにおり、あなたがたがわたしの内におり、わたしもあなたがたの内にいることが、あなたがたには分かる」と言われます。この関係を悟らせてくださるのが聖霊の働きであるといえるでしょう。 弁護士を頼むときには優秀な人を選ばなければなりません。わたしたちにとって、イエスが示された弁護者は最高の方です。わたしたちとともにいて、わたしたちの長所、短所、恐れていること、望んでいることをすべて知り尽くし、守ってくださる方だからです。こんなにすばらしい弁護者を与えてくださったことに感謝しましょう。そうなると心配なのは弁護費用ですね。でもご心配なく。「わたしの掟を受け入れ、それを守る」、つまり主を愛し、隣人を愛する心があれば大丈夫です。               (柳本神父)